本格的に家の中を片づけないと、と思っているが、いざ始めようとするとどこから手を付けていいのか途方に暮れる。確かに無くても構わないものはたくさんある。だからといってまったく必要がない訳でもない。それぞれに歴史と思い出がある。
どこまで目をつむるのか、結局は思い切るしかないのだが、それほど簡単ではない。人それぞれ〈もの〉に対する価値の置き方も異なるし、思い入れも違う。本も書棚からはみ出してきたが、処分の対象としては優先順位が低い。文章を書いている間は手元に残しておきたい。かつて研究室にあった本は、ほとんどを処分したが未練はいまだにある。
コロナ禍で外出を控えるようになった2020年春、自宅でも一度思い切った資料の整理を行なっている。本と雑誌の一部とコピー資料やビデオカセット、CD、MD、フロッピーディスク、スライドなど、かなりの量を廃棄した。あれから4年以上が経ち、また資料は増えている。ほっておけば増えることはあっても減ることはないと思い知る。
捨てなければよかった、と思わない訳でもないが、最初から無かったと思えば結構何とかなるものだとも感じている。欲を言えばきりがない。「あの本がない」といったことが2~3年前まではあったが、気にならなくなってきた。海外の大学図書館のウェブサイトでは貴重な文献も閲覧できる。見つけ出すことも愉しみの一つになっている。
歳を重ねれば本だけでなく家財は増える。どこかでスリムにしていくために、処分の緩やかな下りカーブをつくっていくしかない。
まずは大きなものから手を付けよう。かさ張るもので未練なく廃棄できるものを探してみると意外とある。アルミの大きな塊のMac、先代のiMac、ディスプレーなど周辺機器、パソコン関連だけでも幾つあるだろう。いまは手軽なスティック掃除機を使っているが、予備にと古い掃除機もそのままある。こんな捨てられない性分が、埃をかぶってそのままになっているものを増やしている。