Works

私の仕事は多岐にわたっているし、専門もいつの間にか拡散していく。専門を絞り、とことんまで突き詰めてきたとは言い難い。その点からも根っからの研究者ではない。若いころは編集・デザインと展覧会に関わる仕事が中心だった。その後絵本と関わり、ワークショップなども行ってきた。その都度「いま何をするか」を考えてきた結果である。それでも、書籍、雑誌、展覧会図録のために執筆したものもそこそこの数になった。決して完成されたものとはいえないが、あえて公開することにした。直感的に感じ取り、テーマとして探究してきたものもある。もともとは絵本研究を中心にすえてきたわけではないが、絵本を研究していく上で、芽としてこれから育ちそうなものも含まれていると思う。この芽を育ててもらいたい、この想いを伝えていくこともこれからの仕事だと思っている。

著作

‘76年「近代日本印刷資料展」に関連して「眼力と腕力の芸術石版画」『日本経済新聞』朝刊文化欄に記事を書いた。メディアから依頼された初めての原稿である。その後印刷やポスターに関する原稿依頼があり、’80年ころからは絵本に関する執筆が増えていった。『絵本とイラストレーション 見えることば、見えないことば』は、私なりの絵本の見方をまとめたものである。

展覧会

‘76年「近代日本印刷資料展」(武蔵野美術大学美術資料図書館)は、企画から展示まで任された最初の展覧会である。’73年に「現代日本の本の装幀展」を手伝ったのがきっかけだが、以降’83年までは美術資料図書館で開催された展覧会のほとんどに関わった。現在まで数えれば100近くになり展示は主要な仕事になっている。

講演・シンポジウムなど

講演はさほど多くないが思い出深いものもある。海外での講演は前後の交流も含めて記憶に残る。講演やシンポジウムを引き受ける一番の楽しみは人との出会いであり、そこから好奇心と探究心が広がっていくからだ。準備のためのキーノートを使った資料づくりも感覚を刺激する。

講座・ワークショップ

なぜワークショップをここまで続けられたのか、自分でもわからない。手法も自己流に近くひな形を求めることもない。やってみたいという気持ちと、その場で生じる想像の広がりに心地よさを感じるからかもしれない。きっかけになったのは、’98年8月の網走の講座であったことは間違いない。

社会活動

結果として社会に貢献できれば、ということになるが、どれほどか問われればたいしたものはない。ただ、この10年ほど立川市の文化振興に関わり、立場や職業が異なる様々な人たちとの交流によって、どんな小さなことでも役に立てると実感している。

編集・デザイン

‘71年からフリーで書籍や雑誌のデザインを中心に活動してきたが、’99年武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科から芸術文化学科に移ったのを機に事務所を閉じ、デザインから遠ざかった。ここに挙げたのは、長い期間関わったものの一部である。