消費行動を見直してみる

 辛い花粉シーズンもようやく終わろうとしている。先日定期的に処方してもらっている花粉症治療薬をジェネリックから先発医薬品に変えてもらった。なんと、はっきり分かるほど効果が違う。ここ数年花粉症が悪化したのかと思うほど苦しんでいた。薬を追加したり、点鼻薬を使ったりしてもあまり変わらなかった。ところが、2週間ほどになるがくしゃみも鼻をかむ回数も大幅に減った。花粉シーズンが終わりがけだからかとも思ったが、夜に飲み忘れるとてきめんにくしゃみが出る。明らかに違いが分かる。このジェネリック医薬品は不祥事が問題になった製薬会社が製造したものだ。
 企業や団体の不祥事が明るみにでるにつけ、企業の社会に対する姿勢はやはり気になる。ましてや医薬品は健康に直結する。
 ESGやSDGsが話題になり、企業も環境や社会を意識するようになったといわれているが、問題でも起きない限り、社会に対する姿勢はなかなか見えてこない。
 これまでも消費者の立場として、商品を購入するとき可能な限りその企業の環境や社会への取り組みを考慮するよう努めているが、これがなかなか簡単なことではない。社会インフラに関わるものもそうだが、選びようがないものも数多く存在するからだ。自分の意思に関わらず使わざるを得ないものもある。医薬品もその一つだろう。
 それでも身近な電気製品や日用雑貨、食品は選べるし、コンビニやレストランなどの利用も自分なりの判断基準を設けることはできる。
 企業について意識して調べれば、はじめて知るような地域に密着した活動なども見えてくる。今はネットからある程度の情報を得ることができるし、ウェブサイトには、社会に向けてどのような取り組みをしているのか紹介している。深く読み込んでいけば負の側面も垣間見えることもある。
 地方の企業には、地域に密着した活動をしているところも多い。いつも食べているおかきのメーカーの活動を知ったりすると嬉しくなる。
 ただ消費するだけでなく、その企業を知れば親近感も湧く。微々たるものでも、応援する気持ちを消費行動に繋げたいと思ったりもする。
 企業は消費者や地域社会によっても支えられている。社会を構成する一員であることに変りはない。企業のイメージだけでなく、社会に対する姿勢や貢献も大切なはずだ。ところが、よほど熱心に調べない限り分からないことの方が多い。企業のことを知るための環境が十分整っているとは言い難い。企業の社会的な活動を一覧できるウェブサイトがあればいいなと、つくづく思うことがある。
 コロナ禍は、自分自身を見つめ直すよい機会になったが、企業だけでなくあらゆる組織、団体にとっても社会的存在意義を問い直すことになったはずだ。
 個人もあらゆる組織も単独で生きている訳ではなく、相互に依存する関係にある。消費行動についてもあらためて見直してみるのもいいと思う。