ウェブサイトを開設して1年
言葉で心身を整える

ウェブサイトを開設して1年が経った。〈At Times 折々に〉も22回になる。当初はどのように続いていくのか想像もできなかったので不思議な気がする。
 コロナ禍がなければサイトを作ることも考えなかったかもしれない。もともとじっとしていられない性分で、篭ることなど想定できなかった。外出を控えるようになった昨年3月、まず手を付けたのが廃棄も念頭においたさまざまな資料の整理だった。思いきって捨てるものを決め、パソコンのフォルダーに原稿類やKeynote資料などを整理した。さらにFileMakerでデータを分類していった。
 こうした細かい作業は嫌いではないが、データはパソコンの中でそのまま埋もれてしまうだろう。そう考えると虚しさもあった。せめて身内や近しい人たちが開けるように、との想いがブラウザーで閲覧できるhtmlの記述に繋がった。
 結果的にはサイトを開設し公開することになったが、よかったと思っている。わずかでも目を通してくれる人がいると励みになる。今さらながら、現役のときにサイトを開設しておくべきだったと思う。活用の仕方はもっと違うものになっていただろう。
 〈折々に〉は更新することを自分に課すためでもあるが、こちらもようやく自然体で書けるようになった。公開するとなると、どうしても人が読むことを意識してしまうが、そもそもきっかけは自分自身を整理することだった。誰のためでもなく、自分のために書いているのだと割り切れたころから肩の力も抜けたように思う。
 サイトの開設は思わぬ効用もある。日々の生活とこれまでを振り返るよい機会になった。言葉で表すことによって見えてくるものがある。〈折々に〉は自身の鏡にもなる。
 運動不足と老化防止のためと思っていたウオーキングも、文章にすることによって気がつくこと、見過ごしていたものが分かる。コラージュに無心で取り組めるようになったのも、心の中のイメージが引き出されたからだろう。
 言葉はコミュニケーションだけでなく、自分自身の心身を整えるためにも大切なのだとつくづく実感できる。感じたこと、考えたことを言葉で表すことによって、日々の営みが繋がり過去の記憶をたぐり寄せることもできる。漫然と過ごしても時は流れていくばかり、「いまここで」を見つめてみるのも愉しい。